帝国の終焉 2012 2 26
書名 帝国の終焉
「スーパーパワー」でなくなった同盟国・アメリカ
著者 日高 義樹 PHP
「1京円」
著者によると、
これが、アメリカの借金であるという。
「アメリカ政府のあらゆる赤字を足すと、
どう評価しても100兆ドルを超している。
単純に1ドル=100円として、
日本円にすると、1京円という凄まじい額である。
その内容を見ると、
政府の財政赤字が15兆ドル、
地方自治体の赤字が24兆ドル、
それに年金や医療保険費用の赤字が数十兆ドルにのぼる。
こうした純粋な財政赤字に、
政府が援助した住宅資金の焦げつきなどを合わせると、
100兆ドル、つまり大雑把に言って、1京円を超す」
最近、日本では、欧州危機のニュースが多く、
アメリカ危機のニュースは少ないのが現状でしょう。
多くの日本人は、
「アメリカも巨額な借金を抱えて、大変だな」と思ったでしょうが、
これが、日本にとって、対岸の火事ではないのです。
日本は、戦後、「商売に専念し、安全保障はアメリカに丸投げ」という状態が、
長年、続いてきたからです。
日本の国力や経済規模からすると、日本は軽武装な国と言えるでしょう。
これは、フランスと比較すると、よくわかると思います。
フランスは、アメリカに対してもソ連(ロシア)に対しても、
自主独立路線を貫いてきた国として知られますが、
フランスの軍事予算は、対GDPで比較すると、
日本の2倍以上となっています。
金額ベースで見ても、フランスは日本を大きく上回っています。
こうしてみると、フランスは軍事大国と言えるでしょう。
つまり、アメリカ(用心棒)が傾くということは、
日本の安全保障問題に直結するということです。
当面は、日米同盟の堅持・強化でしょうが、
肝心のアメリカが傾いていくとなると、
日本は、結果的にフランスのような国防戦略となるでしょう。
日本の行く道 2011 1 9
書名 日米同盟vs.中国・北朝鮮
著者 リチャード・L・アーミテージ
ジョセフ・S・ナイJr
春原 剛
まずは、この本から引用で始めましょう(以下、引用)。
ナイ教授は、かつて日米同盟と日本の将来について、
次のような言葉を残している。
「日本には、三つの選択肢がある。
日米同盟の堅持・強化、
フランスのような自主独立路線、
あるいは、21世紀の大国となる中国の属国化だ」
(以上、引用)
今日は、日本とフランスの違いを見てみましょう。
フランスにあって、日本にないものは何か。
フランスは、核武装しているということです。
次に、軍事予算が違います。
対GDPで比較すると、フランスは日本の2倍以上となっています。
金額ベースで見ても、フランスは日本を大きく上回っています。
こうしてみると、フランスは軍事大国と言えるでしょう。
それでは、永世中立国のスイスは、どうか。
対GDPで比較すると、日本と同じくらいでしょう。
金額ベースで見ると、スイスは、さすがに少ないと言えるでしょう。
しかし、スイスは、欧州において、
軍事力によって永世中立を貫いてきた歴史があります。
スイスは、徴兵制を採用しており、男性には兵役の義務があるのです。
多くの日本人は、スイスというと、観光国家を連想するでしょうが、
実は、スイスの国土には、至る所に軍事施設が存在します。
次に、日本人がよく口にする国連は、どうか。
日本にとって、国連は、幻想に過ぎないでしょう。
国連軍は、中小の国は助けるでしょうが、
日本のような大国を助けることはしないでしょう。
そもそも、国連は、イラク戦争をめぐって機能停止の状態になりました。
最近では、北朝鮮をめぐって、たびたび機能停止しています。
日本は巨額の国連拠出金を払っていながら、
まるで役に立っていないというのが現状でしょう。
日本人は真面目で、おとなしいから、国連に対して何も言いませんが、
普通の国だったら、「金、返せ」と言いたくなるところでしょう。
国連の加盟国は、どんな国が多いか知っていますか。
加盟国を全部見渡せば、独裁国家や強権国家が多いことに気づくでしょう。
だから、国連は、独裁国家や強権国家に対して弱腰にならざるを得ないと言えます。
最近、日本では、このような「厳しい国際情勢」に気づいて、
「やはり、日米同盟の堅持・強化の方がよい」という雰囲気に戻ってきました。
日本は、平和国家だと思います。
日本国内には、核兵器の材料が大量にあり、
さらに技術力があり、資金力もあり、その上、ロケット技術があります。
これで日本が核大国にならないのが不思議なくらいでしょう。
これは「世界の七不思議」と言えるかもしません。